大人が若者と同じように踊ると「バグ」が発生する理由
年齢問わず、踊りたいように踊ればいい。周りの視線を一切気にせず、自分の「好き」を貫ける強靭なメンタルがあるなら何の問題もないし、それが一番幸せな形。これが私の持論です。
残念ながら、私はそこまでメンタルが強くないし、外野を気にしてしまう人間。
ファッションに置き換えてみる。好きな服を着て自己完結できるなら最高だけど、やっぱり人目が気になってしまう。
話をダンスに戻すと、若者世代がパワフルに織りなすダンスを大人が同じ熱量で踊ろうとすると、頭の中のイメージと鏡に映る現実に大きな乖離が生まれます。持病の股関節の不具合や年齢的な変化がある私の場合、身体機能以上に「鏡の中の自分」の違和感にハッとさせられてしまうのです。
決して若ぶろうとしているわけではないのに、若者基準の動きをそのままやると、どうしても「バグ(違和感)」が発生してしまう。
だとすれば、目指したいのは、若者と同じ「勢い」や「パワー」で勝負することではなく、そのスタイルからそっと距離を置いて、今の自分を一番カッコよく見せる「塩梅」を見つけること。
ファッションで例えるなら、全身を若者のトレンドで固めるのではなく、あえて「引き算」をしたり「抜き」を作ったりして大人のこなれ感を出す感覚に近いのかもしれません。 絶妙な「抜き」を入れることで、同じ振り付けでも大人ならではのお洒落感が出る。まさにこれなんです!
踊りたいものを踊ればいいに決まっていますが、ダンスって「年相応で似合うもの」がちゃんとあると思うのです。
例えば、Thug(サグ=イカついスタイル)系な感じでHIPHOPを踊るのって、あの肉体的な若さと、精神的な無敵感があるから成立する部分が大きい。知恵も経験もつきすぎた我々大人が同じことをやったところで、あの空気感にはどうにもこうにも太刀打ちできないのです。
ダンスって所作に意味がある。私はその中でも「大人の品」は出したい。その方が単純にお洒落だから。そういう意味でいえば、若者と同じ土俵、つまり肉体勝負の「勝てない試合」には最初から出ないことにしています。
自分の残存スキルを最大限に生かして、自分にとっても心地よく、尚且つ、人に観られても「あちゃ…」と思われないであろう落とし所を作ったのが「踊ってる風シリーズ」です。
若者と競わず、無理もせず。大人は大人の「いい塩梅」で、スカして踊るくらいがちょうどいい。
同じように感じている大人世代の方に、このシリーズを見つけて楽しんでいただけているなら何よりです。